復職判定会議徹底解説!!産業保健師が必ず押さえる復職判定会議の極意

こんにちは!産業保健師のなのんです。
メンタル不調の社員が復帰するときに開かれる復職判定会議。
みなさんは、こんな戸惑いや疑問はありませんか?

初めて同席するけど、何をしたらいいのでしょうか、、



そもそも復職判定会議ってなんですか?
産業医の復職面談はしていますが、復職判定会議はやったことないです。



産業医の隣で“メモ係”になっています。
保健師として何を発言すれば良いかわかりません。



順調に復帰しても数か月後に再休職する例があり、会社が復職を許可した以上、その失敗の責任は誰が負うのでしょうか?
実はこれらは、若手だけでなくベテランでも一度は経験する“あるある”です。私自身も産業保健師1年目の時に 「復職=産業医意見」 となっており、復職判定会議を行うという発想がなく、それを疑問に思うことはなかったです。しかし、メンタル不調者が復帰後に業務負荷により体調を崩したり、現場と産業保健スタッフへの連携が取れていないことから、会社によっては、復職判定会議の導入を検討し、各関係者が役割を担い、本人の自己保健義務の遂行を支援すること必要性を感じました。
そこで本記事では、以下の気づきが得られるヒントをお届けします!
- 復職判定会議のイメージが掴める
- 私が現場で磨いてきた 産業保健師ならではのチェックポイントがわかる
- 産業医・人事・上司が各々の役割を遂行し “一枚岩” で、復職支援に臨むイメージが描ける
- 「復職判定会議って怖くないかも」と感じられる
それでは早速、復職判定会議の目的から見ていきましょう!


- 新卒から産業保健師歴約15年
- 産業保健師としての企業での活動実績
- 産業保健体制の立ち上げ支援 4社
- オンライン健康セミナー 約10回/年
- メンタル&フィジカルの保健師面談 約30件以上/年
- 営業職・研究職・臨床検査職・事務職・配達業務職・小売業・物流センター・製造業・金融業・IT企業など様々な職種の従業員に対して産業保健サービスを提供
基礎から実践まで、“できる産業保健師”を育成!
復職判定会議とは


復職判定会議とは何か、その目的と主な参加者をまず理解していきましょう!
復職判定会議の目的と主な参加者
目的 | 主な参加者 | ゴール |
---|---|---|
復職可否の判断の決定 休職者が 「もう一度元の職場で働き続けられるか」 を会社として判断する場 | 産業医 / 上司 / 人事労務担当 / (必要に応じて)産業保健師・産業カウンセラー・会社指定の精神科医 ※会社によって参加者は異なります | 出席者からの復職に関する懸念を検討し、会社としての「復職可/不可」 の明確な決定と、可の場合は 復帰プラン を共有 |
インスタフォロワー様から復職判定会議の参加者のリアルをお伺いしてみました






産業保健のリアル!復職判定会議を行なっている企業調査
産業保健師の方へ復職判定会議についてのアンケートを実施しました。
復職判定会議を行なっているのは、半数程度でした。


復職失敗・・・“復職失敗”とみなされる6つのシグナル


“復職失敗”っとみなされる主な状況は以下になります。
- 復帰後すぐに、あるいは数ヶ月以内に再び休職状態に入ってしまう
- 復帰からの継続勤務が3ヶ月未満で中断されるケース
- 遅刻や早退が常態化し、所定労働時間を守れない
- 体調は戻ったものの、集中力低下や判断力不足でミス・遅延が増える
- 職務上必要な業務を一人で完了できず、他者のサポートが常時必要になる
- 期待された業務レベル(KPI)を大きく下回り、成果がほとんど見えない
- 面談で約束した業務量やペース調整を守れず、上司からの信頼を失う
- コミュニケーションがぎくしゃくし、チーム内で孤立感を深める
- 復帰後に著しい不安・抑うつ感などの症状が再発し、仕事中に耐えられない状態になる
- 日常業務に支障をきたすほどのパニック発作や過度の緊張が頻発
- 生活リズム(睡眠・食事・休憩)が安定せず、体調管理がまったくできない
- リワークやセルフケアで学んだ対処法を実践できず、サポートも活用しない



上記、6つのシグナルのいずれかが出ている場合は
速やかに関係者へ報告しましょう!
復職判定会議で関係者が見るべき復職基準
復職が可能であると判断するための基準は以下の2つがベースです。




上記2つをベースに、各参加者は、以下のポイントを見ていきます。
主な判断者:上司・人事
ありがちな懸念:書類不備 / 会話が噛み合わない
主な判断者:上司・人事
ありがちな懸念:連絡が取りづらい / 会議遅刻
主な判断者:産業医・産業保健師
ありがちな懸念:焦りがある / 生活記録が不十分
主な判断者:全員
ありがちな懸念:原因を職場のせいだと言う/対策が行動レベルで不十分



メンタル不調者の対応は、各関係者が役割を明確に分担して、本人の自己保険義務の遂行を図ることが大事です!各関係者の役割について、詳しく学びたい方は以下を参考にしてみて下さい。
\各関係者の役割についてはこちらをチェック/


産業保健師が特に見るべき5つの視点


産業保健師は産業医の“秘書”ではなく、本人・人事・上司・産業医の連携の要です。
秘書として、メモを取るだけでなく、みるべきポイントを確認しながら、ご本人への自己管理支援や関係者支援を円滑にできるよう、産業保健師として意見を伝えていきましょう!
産業保健師が、復職面談や復職判定会議に参加する場合にみるべきポイントを紹介します。
実際に、私自身が復職判定会議や復職面談でみている視点となりますので、参考にされてみて下さい!
業務遂行能力、責任感、業務量への適応度、コミュニケーション力を総合的に評価。
面談前に職務内容を職場とすり合わせておくとスムーズ。
ストレス耐性、休息の確保状況、医療フォロー、職場外の支援ネットワーク。睡眠・服薬状況・生活リズムのセルフモニタリングが続いているかを確認。
「仕事を体調を崩すことなくこなせるか?」を質問し、現在の状況と業務をしている状況が結びついているかを探る。「体調を崩すことなく仕事がこなせる」とある程度自信を持って言えるかを確認。
上司・同僚の復帰歓迎度、復帰後の復職支援プログラムの有無。在宅勤務や時短勤務などの制度活用の有無。キーパーソンを明確にしておく。
過去の不調要因→対策→効果を“PDCA形式”で整理。トリガーサインとセルフケア行動を本人が説明できるかをチェック。



この5つの視点に対して、少しでも違和感を感じたら、関係者へ保健師意見を述べましょう!
よくある Q&A


復職判定会議についての産業保健師のよくある疑問や質問に、なのんだったらどう考えるのかをご紹介いたします!
- 復職面談はしていますが、復職判定会議は会社としてしていません。しなければいけないでしょうか?
-
法律上の義務はありません。 しかし、次のような状況がある職場では導入をおすすめします。
- 年間の休職者が複数名おり、再休職率が高い。
- 人事・産業医それぞれの判断がばらつき、復職基準が曖昧。
- 職場と人事、産業保健スタッフの連携が取れていない。
- 産業医の意見(復職OK)の判断で復職の可否を決定している。
こうしたケースでは、判定会議を「判断フローの見える化」と「支援策の合意形成」の場として設置すると効果的です。
- どの程度なら復職に「懸念なし」と言えますか?
-
会社ごとに基準が異なるため、関係者で“懸念なし”のレベル感をそろえておくことが必須です。
復職のハードルが高い会社のレベル感は、「中途採用面接で即戦力と判断できるレベル」をイメージしておくと◎。具体的には「元職務を支障なくこなせそう」+「6か月以上安定継続が見込める」状態です。 - 復職に失敗したときの責任は誰が負うのでしょうか?
-
基本は本人ですが、「復職を決めた人(=会議の出席者全員)」も責任を担うことがあります。
実務ではトラブルを最小化するために “一枚岩” で判断し、共有・運用フローを明確にしておくことが重要です。 - 本人同席で話すと関係者の意見がまとまりません…
-
そんなときは、
- 本人抜きで懸念を洗い出す
- 共通方針を決定する
- 本人面談で合意形成を図る
という3段階プロセスがおすすめ。対立を避けつつ、本人にも透明性を担保できます。
まとめ:産業保健師の役割を認識し、復職判定会議に臨もう!
復職判定会議は、休職者をふるいにかける“試験”ではなく、 会社・本人・職場・産業保健スタッフが同じ船に乗って、各々の役割を全うし、各々が責任を果たして解決に導いていく場です。
産業保健師は
- 本人の自己管理支援
- 人事、不調者の上司、産業医などの関係者支援
を行うことを意識し、本人及び関係者が役割を遂行できるように支援していきましょう!
この記事が「復職判定会議って怖くないかも」「私もやってみよう」と思うきっかけになれば嬉しいです。困ったときは、なのんにいつでも相談してくださいね!
最後に ― 一緒に学び、実践しよう!
ご覧いただきありがとうございました!
メンタル不調者への対応に悩んでいる方は、私が主宰する産業保健師育成プログラムで気づきのヒントを得るのも◎。
- 受講中に現場で起こっているお悩みをケーススタディとして検討
- 先輩保健師とのグループディスカッションで視野を拡大
産業保健の実務に関するお悩みがある方は、育成プログラムに参加することで新たな気づきや解決のヒントが得られます。みんなと一緒に成長していきましょう!
産保ゆめUPスクールでは、産業保健師の基礎的な実践力を鍛える産業保健師育成プログラムサービスをご提供しています。
産業保健師に必要なスキルや基礎知識、企業で働く上での考え方を網羅し、実践力を鍛え、産業保健師としての成長と自己実現につながる講座となっています。
一緒に成長していきましょう!


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最後までお読みいただき、ありがとうございました!これからも産業保健師としての成長を応援しています!


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- 産業保健師の実務相談および育成プログラムの実績
- 個別実務相談(事後措置・休復職支援など)を約10名分実施
- 「入門コース」(5名)→「実践コース」(11名)の育成プログラムを提供
- 産業保健師向け勉強会(つながる産保カフェ)を毎月開催し、延べ参加者数30名以上、「勉強になった」「新しい視点を得られた」と高評価
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