【産業保健師向け】面談のフィードバックは“橋渡しの力”。メール・報告書のフィードバック完全ガイド

こんにちは、産業保健師のなのんです。
産業保健師として働いていると、
復帰後のフォローや仕事に支障が出ている体調不良者の面談後に「さて、これをどうやって関係者に伝えよう…?」と悩む場面、ありますよね。
産業保健師3年目面談内容をうまくまとめられない



何を書いて、何は書かなくていいのか線引きがわからない



宛先は?どこまで共有していい?



私自身も新米産業保健師時代は、事実に基づきながら、優しく丁寧に伝わるように報告できるフィードバックの「型」を掴むことに努力しました。
面談は「こころを聴く」時間、フィードバックは「未来へつなぐ」時間です。
面談は、社員さんの心身の声に耳を傾ける大切な時間。そして、面談後のフィードバックや報告書は、ただの「記録」ではなく、 社員さんを守り、組織を整えていく大切な橋渡しのツール です。
そのポイントを、フィードバックの目的・注意点・テンプレ・心の持ち方 まで、まとめました。
- 産業保健師が面談後に“なぜ”フィードバックを行う必要があるのかがわかる
- “具体的に何をフィードバックすればいいのか” が明確になる
- テンプレートや書面の活用方法を知り、業務負担を減らす方法がわかる


- 新卒から産業保健師歴約15年
- 産業保健師としての企業での活動実績
- 産業保健体制の立ち上げ支援 4社
- オンライン健康セミナー 約10回/年
- メンタル&フィジカルの保健師面談 約30件以上/年
- 営業職・研究職・臨床検査職・事務職・配達業務職・小売業・物流センター・製造業・金融業・IT企業など様々な職種の従業員に対して産業保健サービスを提供
なぜ、フィードバックが必要なのか?


「面談しただけ」で終わらないのが、産業保健師の専門性。
特に、業務上の支障がある従業員や休職復職支援の対象となっている従業員、健康上の問題で仕事の配慮を一定期間している従業員などと面談をする際は、面談だけでなく、関係者へのフィードバックを行い、関係者と連携しながら、対応していくことが大事です。
報告・フィードバックが必要な理由は主に3つです。
面談内容は、本人・上司・人事・産業医の間で受け取り方がズレやすい部分です。
フィードバックを共有することで、
- 本人の体調・働き方の現状
- 本人が困っていること
- 現場で必要な配慮
- 今後のフォロー方針
を関係者間で共通認識として持つことができます。
産業保健師だけが状況を把握していても、
現場の上司が知らなければ職場でのフォローが機能しません。
面談の情報を適切に共有することで、
- 上司が現場で配慮ができる
- 人事が制度面でサポートできる
- 産業医が医療的な観点から判断できる
というように、多方面からサポートできる状態をつくれます。
メンタル不調・労働負荷・健康リスクは、人事・上司など関係者が早く気づくほど、悪化を防ぎやすくなります。
- 面談で出た“違和感”や“初期サイン”を共有
- お困りごとやトラブルを早期に察知
- 必要な対策や専門機関につなげる判断がしやすい
企業は健康情報を扱う立場として、適切な記録・共有はコンプライアンスにも関わります。
- 何を把握し、どう対応したかが記録に残る
- 対応の妥当性を説明できる
- 法的リスク(安全配慮義務など)を回避
関係者が背景を理解していると、
- 上司からの日々の観察ポイントが明確になる
- 次回面談で“前回から何が変わったか”を把握しやすい
- 本人との信頼関係が築きやすくなる
情報共有の目的を説明したうえで共有すると、
- 「会社が自分の状況を理解してフォローしてくれる」
- 「ひとりで抱える必要がない」
と本人の不安が軽減し、
企業への信頼感にもつながります。
産業保健師面談後に何をフィードバックすればいいの?


産業保健師面談後に、関係者への共有が必要な場合は以下の項目は最低でも記載していきましょう。
フィードバック事項(必須)


面談後に関係者へ共有する必要がある場合、最低限フィードバックすべき内容を 4つの項目 に整理しました。
✅ 健康状態(心身の状況)
- 症状の改善・悪化
- 睡眠・食事・運動など生活習慣の変化
- 日常生活で困っていること、不安点
ポイント
事実ベースで、“今どこまで整理されているか” が伝わる文章に。
例
「自覚症状は改善傾向だが、復帰後の店舗や通勤時間、人間関係への不安が残っている」
✅ 勤務状況
- 遅番/早番など負荷の大きい勤務での様子
- 欠勤や早退の有無
- 業務に支障があるか
- 職場での配慮状況
例
「不規則なシフトでも体調悪化なく勤務できている」
次の4つから該当区分を選ぶことがおすすめです。
- 措置不要
- 要保健指導
- 要フォロー
- 要医療
※例:
「生活リズム改善のため、睡眠導入剤の調整とセルフケア方法を助言」
また、必要に応じて
- 産業医フォロー
- 関係者会議
の必要性も必ず記載します。
- 次回フォロー日
- 本人の希望(例:休職したい、勤務延長したい など)
- 診断書や検査予定
- 会社に確認が必要な事項
※例:
「11日に血液検査結果及び診断書を取得予定」



就業上の措置を延長する場合は、本人の改善意欲も合わせてフィードバックすることがあります。
(書面で共有する場合)保健師面談結果報告書


産業保健師面談結果報告書をそのまま「使える形」で欲しい方へ。
面談結果を整理して文章にするのは1〜3年目の頃はとくに負担が大きいですよね。
そんな方のために、私が実際の企業支援で使っている
「保健師面談結果報告書(テンプレ)」 を書面でダウンロードできるようにしました。
- 記載例入り
- Word / PDF どちらも受け取り可能
- そのまま自分仕様に書き換えOK
必要な方は、以下からダウンロードへ。
Q&A よくある質問


次に、産業保健師面談結果報告やフィードバックに対するよくある質問に対して、なのんだったらどう回答するのかをご紹介いたします。
- 本人が「共有してほしくない」と言っている場合はどうすればいいですか?
-
まずは、
「何を、どこまで、誰に伝えるのか」 を丁寧に説明し、共有の目的(本人を守るための支援につながること)を必ずお伝えします。その上で、
共有範囲や表現方法に本人の希望を反映する ことも可能です。たとえば、
- 本人にCCする
- 表現をやわらかくする
- 敏感な部分は“背景の整理”として事実ベースで簡潔に書く
など、安心してもらえる工夫を一緒に考える姿勢が大切です。「追加・修正があれば遠慮なく言ってくださいね」と添えると、“透明性” が高まり本人の不安が軽減します。
- どこまで詳しく書けばよいのか迷います。書きすぎでは?と思うことがあります。
-
フィードバックに書く内容は、
“組織が適切な対応をするために必要な情報のみ” が原則です。ポイントは3つ:
- 事実ベースで書く
- 職場にどんな影響があるかが伝わるレベルまで
- プライバシーに深く踏み込む内容は書かない
たとえば、
「お薬の内容」「不眠の理由が家庭事情」などの詳細まで書く必要はありません。
「睡眠状態が不安定で、勤務に影響が出る可能性がある」といった表現で十分です。 - 健康状態や勤務状況が”普通”で特に問題がない場合でも、フィードバックは必要ですか?
-
はい、必要です。
「問題がない」という状態こそ、関係者が安心して見守るための大切な情報です。そのため、
- 改善している点
- 本人が工夫している点
- 再発の兆しがないこと
- 次回フォローの予定
などを、簡潔にまとめて共有すると「今は大丈夫」という判断がしやすくなります。
- 産業医に報告するべき内容と、上司や人事に報告する内容は同じでいいの?
-
基本の骨格は同じで問題ありませんが、
役割に応じて少しだけ表現を調整するのがおすすめ です。- 上司 → 職場での配慮・勤務への影響
- 人事 → 手続き・制度・休職復職プロセス
- 産業医 → 医学的な視点や必要な医療フォロー
同じ面談内容でも、相手が「判断しやすい形」に翻訳して届けるのが産業保健師のプロのスキルです。
まとめ
面談のフィードバックは、その人の働く毎日を守り、組織の健康を整える“大切な架け橋”です。
あなたが丁寧に書くそのフィードバックは、上司・人事・産業医の動きを生み、社員さんが安心して働き続けられる環境につながっていきます。
そして何より、あなたのあたたかい視点と優しいまなざしが、文章を通して確かに届きます。
フィードバックが苦手でも大丈夫。
型をつかめば必ず書けるようになります。
一緒にこれからも、やさしい産業保健の実践を育てていきましょうね。
最後に ― 一緒に学び、実践しよう!
ご覧いただきありがとうございました!
産業保健師の役割や業務に悩んでいる方は、私が主宰する産業保健師育成プログラムで気づきのヒントを得られるかもしれません。
- 受講中に現場で起こっているお悩みをケーススタディとして検討
- 先輩保健師とのグループディスカッションで視野を拡大
産業保健の実務に関するお悩みがある方は、育成プログラムに参加することで新たな気づきや解決のヒントが得られます。みんなと一緒に成長していきましょう!
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産業保健師に必要なスキルや基礎知識、企業で働く上での考え方を網羅し、実践力を鍛え、産業保健師としての成長と自己実現につながる講座となっています。
一緒に成長していきましょう!


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最後までお読みいただき、ありがとうございました!これからも産業保健師としての成長を応援しています!


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