社員のメンタルケアに必須!『思考のクセ』を知り、悩みを軽減する3つのアプローチ

産業保健師として、日々社員の健康相談を受ける中で、「悩みが尽きない」「ネガティブな思考から抜け出すことができない」「〜さんとの人間関係に悩んでいる」という声を聞くことが多いのではないでしょうか?
このような悩みを話す社員の多くは、起こっている出来事や事実ではなく、「思考のクセ」によって自分を苦しめている可能性があります。
例えば、上司との評価面談で「改善点」を指摘されたとしても、ある人は「次の成長のチャンス」と捉え、ある人は「自分はダメだ」と焦って落ち込んでしまう…。この違いこそが「思考のクセ」です。
思考のクセを賢く、リセットすることができれば、社員のメンタルケアにも大きな効果をもたらします。この
記事では、産業保健師が現場で活用できる「悩みを軽くする思考リセット法」を詳しく解説します。
社員のメンタルケアに視点をぜひ取り入れてみてください!
この記事では、
✅悩みのメカニズムを理解する
✅自分の思考のクセを知る
✅思考をリセットし、悩みを減らす具体的な方法を実践する
この3つのステップで、社員の悩みを軽くする方法を解説していきます。

保健指導にも役立つ内容なので、
しっかり学んでいきましょう!
悩みはどこから生まれるのか?
悩みの原因は、「考え方のくせ」から生まれます。
私たちの基本的な出来事に対する反応として、
① 出来事や事実などの体験があり、それに対して、
②思考や解釈など自分自身で意味づけをして、
③感情が生まれます。
悩み:ただ思考がぐるぐると同じところを回っているだけで、問題を解決するための答えは出てこず、ある種の思考停止状態


例えば、「上司からネガティブフィードバックを受けた」という出来事に対して…
- Aさん:「どうしたら、会社に貢献できるかな」
- Bさん:「自分は役にたたない人間なのかも….」
このように、同じ出来事を経験しても、思考のクセによって感じ方や悩みの深さが変わります。
特に、悩んでしまう人は「出来事を変えよう」とよく考えますが、実は「自分の考え方を変える」ことの方が、より効果的なのです。


思考のクセはどこで形成されるのか?
思考のクセは、後天的に身につけたものです。
以下のような環境の影響を受けて形成されます。
- 幼少期の家庭環境(親の価値観や教育方針)
- 学校・友人関係の影響(先生の言葉や友人との場所)
- 社会・職場での経験(上司や同僚との関わり方)
私たちは、過去の経験から「こう考えると安全」「こうしないと怒られる」といった思考パターンを無意識に学んでいます。
しかし、昔は役立っていた思考のクセが、大人になってから自分を苦しめる原因になることもあります。そのため、不要になった思考パターンはアップデートして、「今の自分に合った考え方」に変えていくことが大切です。


悩みを減らす3つの思考リセット法
今回は、悩みを減らす3つの思考リセット法としてこちらの3つをご紹介いたします。
✅ 自分の思考のくせのパターンを知ろう
✅ 悩む時間を決める、書き出す
✅ 悩みを課題に昇華する


自分の思考のくせのパターンを知ろう
悩みを生み出す思考のクセには、大きく分けて 7つのタイプ があります。
自分がどのタイプの思考をしやすいのかを知ることで、客観的に悩みをコントロールしやすくなります。
思考のくせの7つのタイプ
思考のクセタイプ | 特徴 | 対処法 |
---|---|---|
批判タイプ | 他人や自分を責めがち。「白黒思考」が強い | 物事のグレーゾーンを受け入れる |
正義タイプ | 「こうあるべき」という考えが強い | 自分にも他人にも優しくする |
負け犬タイプ | 他人と比較して自己評価が低い | 「できたこと」を意識して加点する |
諦めタイプ | どうせ無理だと決めつける | 小さな成功体験を積み重ねる |
心配タイプ | 未来のことを過度に不安視する | 「今できること」に集中する |
謝るタイプ | 何でも自分のせいにしてしまう | 事実と解釈を切り分ける |
無関心タイプ | 物事に興味を持てない | 小さな一歩を踏み出す |
まずは、自分がどのタイプに当てはまるのかを振り返ってみましょう!


悩む時間を決める、書き出す
悩みの多くは、無意識のうちに心のリソースを奪ってしまいます。
そこで、悩みをコントロールするために 「悩む時間を決めて、書き出す」 ことが効果的です。
✅やり方
- 悩む時間を決める(例:10分間だけ悩む)
- 悩みを紙に書き出す(思考をアウトプットする)
- 書き出した内容を客観的に見る(モヤモヤの整理ができる)
紙に書くことで、自分の思考を俯瞰できるようになり、悩みのループから抜け出しやすくなります。



保健師面談で、一緒に書き出す作業を
行っても良いと思います!
悩みを課題に昇華する
悩みを単なる「思考のループ」にせず、 「どうしたら解決できるか?」という課題に変える ことで、前向きに考えられるようになります。
最終目的逆算思考(ゴールから考える思考法)
👉 「結局、何がどうなったらいいのか?」を明確にする
例1:痩せたいAさんの場合
✅ 最終目的:「パートナーに愛されたい」
✅ 考え方:「痩せていなくても愛される方法を調べる」「痩せていなくても愛されている人を探してみる」etc
例2:上司の評価が低かったBさんの場合
✅ 最終目的:「自分の価値を実感したい」
✅ 考え方:「職場以外のコミュニティを探してみる」「価値を提供できている部分にフォーカスしてみる」etc
このように、悩みを「解決すべき課題」として捉え直すと、思考が前向きになります。



1人で自分を客観視する作業が苦手な方もいると思いますので
保健師が一緒になって、悩みを課題に昇華させる作業を
保健師面談で行うのも良いと思います!
おすすめ書籍
悩みを課題へ昇華する「最終目的逆算思考」については、こちらの書籍に詳しく書かれています!「悩まない人の考え方」は、私たちの思考を「悩まない人の考え方」にアップデートしてくれますし、メンタルケアが必要な従業員へ本を紹介するのも良いと思います!
悩みを聞く仕事である産業保健師は必読の一冊です!
健康講話を見てみよう! ~産業保健師が活用できる「思考のクセ」へのアプローチ~
ここまで、悩みが生まれるメカニズムや、思考のクセを把握し、思考をリセットする方法について解説してきました。



「でも、実際に社員へどのように伝えればいいの?」



「どんな健康講話をしたら良いの?」
そんな疑問をお持ちの産業保健師の皆さんにおすすめなのが、こちらの健康講話の動画 です!
実際に、産業保健師なのんによる健康講話「思考のリセット法」 を収録しております。
✅ 思考のくせ7種類の特徴と対処法のポイント
✅ 健康講話の導入の仕方
✅ 実際の産業保健師の健康講話の話し方・伝え方
などを知ることができます。
社員が悩みのループから抜け出し、より前向きに行動できるようサポートするために、記事を購入し、動画をチェックしてみてください! 🎥✨