【永久保存版】非協力的な職場の上司や人事担当者から「協力を引き出す」コツは、応援され頼れる産業保健師になることが一歩。

こんにちは!産業保健師のなのんです!
産業保健師1年目の方からお困りごとのご相談がありました。

保健師は多く在籍していますが、事業所や工場には1人で出向き面談や上司との調整をしていきます。その場での対象者の上司とのやりとりの中で、健康管理に関心がない上司、あまり協力的ではない上司への対応に困ることがあります。



よく頑張っておられますね!
新米保健師なら一度は経験するお悩みですよね。
産業保健師は、社員さんの自己保健義務を支えるだけでなく、職場の上司や人事の“関係者”にも働きかける役割があります。当事者だけでなく、職場の上司や人事の協力なくしては、不調者の健康支援を実現できない場面も多々ありますよね。
協力的でない上司や人事にも、まずこちらから歩み寄って、「産業保健師=頼れる存在」と認識してもらうことが長い目で見ると1番の近道。
私はよく、【産業保健師は会社内で、自身を応援してくれる“ファン”を増やすこと】を大事にすると良いと思っております。
今日は非協力的な職場の上司や人事担当者から協力&関心を引き出すための
- マインドセット
- 具体的なテクニック
をご紹介いたします。


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産業保健師は会社内で、自身を応援してくれる“ファン”を増やすために
「産業保健師=頼れる存在」になること
\本気で産業保健の実践力を鍛えたい人におすすめ/
協力&関心を引き出すマインドセット


上司や人事に協力してもらうノウハウや技術を知っても、心持ちやマインドが伴わなければ、ただの小手先のテクニックになってしまい、行動できませんし、行動できたとしても相手の心を動かすことは難しいです。
なぜマインドセットが必要なのか?
行動のブレを防ぐ:目の前の上司が協力的かどうかで一喜一憂せず、一貫した支援が続けられる。
相手の心を動かす:「自分ごと化」の視点が自然に湧き、相手に意図が伝わりやすくなる。
課題解決力の向上:固定観念に縛られず、多角的に背景を俯瞰できるので、打開策の幅が広がる。
まずは、以下5つの「マインドセット」を大事にし、あなた(産業保健師)を応援したい&助けたいっと思ってもらえる存在になり、“社内ファン”を増やしていきましょう!



産業保健師4年目の時にこのマインドセットに気づいたのですがそれ以降は、協力者も増えていきました。対象者の上司たちが昇進していくたびに、私の影響力(その上司たちと顔見知りであるので、話をつけやすい)も増していったと感じています。
①協力を得たいなら、まず自分から与える
自分から先に与える『ギバー(与える人)』になりましょう!
- 職場での先だし協力のススメ
- 直属の上司に協力して欲しい場合:自分から笑顔で挨拶する。資料の一部作成、会議準備の手伝いなど、小さな行動から始める。
- 対象者の上司に協力して欲しい場合:笑顔で自分から挨拶する。その上司のお困りごとや職場の大変な状況に共感的態度を示す。その上司のお役に立ちたいという気持ちを伝える。話を聞く。
- 人事に協力して欲しい場合:笑顔で自分から挨拶する。人事担当者の大変な状況に共感的態度を示す。人事のお役に立ちたいという気持ちを伝える。人事のお困りごとを聞き、産業保健師として解決できそうなことはないかを探す。
- プライベートで実感してみる
- 笑顔で前向きな言葉を使う
- パートナーや家族に笑顔で接する
- “与える人が与えられる”を学ぶ
- 『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』(アダム・グラント著)を読んでみると、なぜ先に動くと信頼が生まれるか腑に落ちます。



みなさんは、くれくれ君になっていないでしょうか?
くれくれ君では、協力者は増えません。
まずは、先出しして好意を持ってもらうが大事です!
産業保健師2年目の時に産業医から上記書籍をおすすめされ一気読みしましたが、私の産業保健師としての幹を太くする一助となった書籍です!
②相手の現状を知り、共通のゴールを見つける
対象者の上司や人事などの“困りごと”に多方面から目を向ける&共感的態度を示しましょう。
- 背景を多方面から俯瞰
- 部署の目線:「納期が迫っている」「メンバーの定着率が低い」「メンタル不調者の影響で職場の雰囲気ダウン」
- 人事の目線:「休職率をなんとかしたい」「離職率をなんとか下げたい」「現場の負担を極力減らしたい」
- 「話を聞いてあげる」からまずはスタートでOK
- 目の前の人に対して、自分は何ができるのかを考える姿勢がベース。
- 「最近、何か大変なことやはありませんか?」「最近、職場のメンバーの中で気になる方はいらっしゃいますか?」と雑談ベースで引き出す。
- 事前に職場の状況を把握した上で、労いの言葉をプレゼントする。
- 例:トラブルが発生しているとお伺いし、みなさん大変なご状況かと思います。もし体調が悪そうな方がいらっしゃいましたら、保健師へお繋ぎ頂けるとありがたいです。
- 具体的なサポート
- 部下の健康面で困りごとがあれば、『面談→フォローアップの仕組み』や『ミニ健康講話』を提案
- 直属の上司のお困りごとをヒアリングし、健康支援や労働衛生の面から解決のためのノウハウや知識を共有する
- 共通のゴールを探す
- 「生産性アップ」「離職防止」「安全第一」など、会社・上司が大切にしている価値と健康施策をリンクさせると心のハードルが下がります。



最初から全てできる人はいません。
日頃から、一つの軸で相手を判断するのではなく、
多方面から客観視して俯瞰していくスキルを身につけていきましょう!
そのためには、まず目の前の人に対して自分は何ができるのかを考えることからスタート!
③自分の振る舞いが、相手の心にどう映るかを常に意識する
自分は“協力したい”と思える存在であるか?を常に問うようにしましょう。
- 振る舞いをセルフチェック
- メールの文章力:相手にわかりやすく端的に伝わる文章を書く。文章の誤字脱字や過不足などノイズを減らす。
- メールの態度:文頭や文末に一言添える。労いや優しい言葉をプラス
- 対面の態度:笑顔や優しい雰囲気。
- 応援される人になるイメージトレーニング
- 「私が協力したいと思える存在の人は、どんな人?」を考えて行動してみる。
- 自身の周りに「応援されている人は、誰か?」を探してみる。
- ベテラン産業保健師の視点をイメージ
- ○○先輩だったらどう判断するだろうか?
- なのんさんだったらどう考えるだろうか?
- 例:小さな産業保健師なのんちゃんをイメージして、なのんちゃんの言動を観察してみる。


以下書籍では、優しい笑顔など外見的魅力度は相手への好感や信頼度に大きく影響し、魅力度が高い人ほど交渉や評価などで良い結果を得ることできることが書かれていますので、自分の振る舞いチェックにご活用ください。



「後輩が育たない」という後輩育成支援のお悩みに対しても、このマインドを活用することが大事です!
私が教育担当保健師になった時に1番意識したことは、後輩がついていきたいと思える先輩とはどんな先輩かに意識を向けること。知識も経験もまだまだだであったため、そこに意識を向け、後輩が「この先輩についていきたい」と思える行動をとってきました。
それで後輩は育っていきます!
④一方向の見方をやめ、多角的に見る
“協力的でない”“関心がない”という見方は、その方の一面だけを見てるだけ。必ず別の見方もあリます。
- “協力してくれない&関心がない”の再解釈
- その方にとっての優先順位が低いだけ。対応の優先順位が上がるようどうアプローチしたら良いかを考える。
- その方にとっての「影響の和」の範囲外。その方にアプローチしても解決できない問題や課題であるのかをチェック。
- 表面的に協力的でないだけで、内心は協力したいと思っている
- 情報が不足しているだけ。追加データや背景説明を求めている可能性も。
- 多面的視点のトレーニング
- 「この方は、今何に困っていそう?」
- 「人事ならこの状況をどう見る?」
- 「ベテラン産業保健師だったらどう捉えているか?」



『協力してくれないor関心がない上司』であると、
あなたが一方向でしかその方を見れていない場合が多いです。
一方向の自分目線で物事を判断せず、多方面の視点で、
相手の背景を汲み取る力も産業保健師として大事な要素。
⑤味方を増やすことが、自身の支援力を無限に広げる
“社内ファン”を増やすことをゲーム感覚でやっていきましょう。
ファンは急には増えません。目の前の人の役にたつ地道な小さな活動が複利となって、信頼貯金を増やします。
- 小さな成功体験をシェア
- 社内報や健康だより(保健師だより)などで、産業保健師の活動を周知
- 「メンタル不調者の対応や保健師が支援したことでどんな効果が得られたのか」を社内報や会社のHpだけでなく、学会発表でシェア。自社における産業保健師の権威性を高める。
- 口コミを増やす。あなた(産業保健師)と関わって「よかった&助かった」という上司が、自然と他部署の上司へ横展開してもらえるような関係性を作る。
- キーパーソン&協力者リストを作る
- 職場のキーパーソンは誰かを把握する。
- 「まずはこの人に味方になってもらおう」というターゲットを絞って、その人の役にたつ存在になる。
- 定期的な感謝のフィードバック
- 協力してくれた方に「ありがとう」を伝え続ける。



社内ファンは、健康支援部門に多少ミスがあった際にも
多めに見てくれたりします。
産業保健師を応援してくれる社内の存在を増やしていくこと&
その信頼を裏切らない行動を常にとっていきましょう!
協力&関心を引き出す具体的なテクニック


産業保健師が上司や関係者から“ちょっと動いてみようかな”と思ってもらうための、実践的なテクニックを4つの柱でまとめました。
小さな“協力”を引き出す:ハードルを下げる工夫
- 「1行提案シート」を活用
- 面談後すぐに、メールやチャットで“たった1行でほんの小さな”協力依頼を送付。
- 例:復帰後フォロー面談中のAさんの面談が終わった後に5分程度お時間をいただけませんか?
- 面談後すぐに、メールやチャットで“たった1行でほんの小さな”協力依頼を送付。
- “お試し企画”を提案
- 大がかりな施策ではなく、まずは1回だけの簡単イベント(例えば、5分間のミニ健康講話)をもちかけ、結果を必ず共有。
- 成功データをシェア
- 産業保健活動の取り組みの成果を数字やアンケートでまとめ、“効果の一部”を見せると巻き込みやすくなります。
- 例:他部署での取り組みの好事例をシェアする。健康ハイリスク者の改善率をシェア
- 産業保健活動の取り組みの成果を数字やアンケートでまとめ、“効果の一部”を見せると巻き込みやすくなります。
言葉&タイミングを見極める:交渉のコツ
- ベネフィットの訴求
- ×「特殊健診の対象者管理をどうにかしてください」
- ○「現場で管理しやすい管理簿をExcelで作成しますので、現場へメールに管理のご依頼をしていただいてよろしいでしょうか?」
- “ノーリスク”を強調
- 依頼内容の負担を具体的に説明。「月1回、10分だけ」「資料作成は私が担当します」など、上司の工数を0に近づける提案を。
- タイミング合わせ
- 機嫌が良い時を狙う。
- 定例ミーティングや1on1の最後5分など、「次の予定が詰まっていない」「話題転換しやすい」タイミングを狙いましょう。
- 4W1Hでシンプルに
- 「何を(What)」「誰が(Who)」「いつまでに(When)」「どれだけ(How much)」を明確化
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こちらの書籍も読みましたが、読んだ当時は衝撃でした!
部下から上司をマネジメントをするという考え方が
当時の私にとって斬新でした。
影響力の武器:心理的トリガーをポジティブ活用
- 反報性のルール(Reciprocity)
- 先に親切をすることで、相手から「返さなきゃ」を感じさせる
- 例:忙しい上司に先回りして、代わりに資料を作成。メンタル不調者の対応に困っている上司には、お困りごとを聞き、接し方やどこまで様子を見るのか具体的にアドバイスする。
- 先に親切をすることで、相手から「返さなきゃ」を感じさせる
- 権威の力(Authority)
- 信頼できる専門性・実績をさりげなく示す
- 例:社内外での実績を伝える。衛生委員会の司会になる。学会発表する。
- 信頼できる専門性・実績をさりげなく示す
- 社会的証明(Social Proof)
- 「みんながやっている」安心感で動機づける
- 例:他部署や同僚の協力事例を紹介→「ウチでもやってみようか」
- 「みんながやっている」安心感で動機づける
- 理由付け(“〜ので”効果)
- 「〜なので」と理由を添えるだけで、断りにくさが増す
- 例:「資料をまとめましたので、ご確認いただけますか?」「メンタル不調者のAさんから同意を取り、健康状態や勤務状況をまとめましたので、今後の方向性について関係者MTGの場を作り、相談させていただけませんか?」
- 「〜なので」と理由を添えるだけで、断りにくさが増す
- コントラスト効果(Contrast)
- 高いハードルを先に示す→その後の提案が“特別低い”と感じさせる
- 例:最初に「部署全体で1時間セミナー」を打診→断られたら「5分だけ3名に紹介」でOK。「メンタル不調者のAさんと面談していただけませんか?」を打診→断られたら「保健師も同席しますので、三人で面談しませんか?」
- 高いハードルを先に示す→その後の提案が“特別低い”と感じさせる
- 一貫性の原理(Commitment & Consistency)
- 一度OKした小さな行動を継続してもらいやすくする
- 例:週1回の上司からのフォローをOKしてもらったら、翌週以降も同じリズムで依頼しやすい
- 一度OKした小さな行動を継続してもらいやすくする
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「影響力の武器」は私が産業保健師3年目の際に熟読したのですが
このテクニックを知っているから、産業保健活動に対して、
周りを巻き込みながら実行することができるようになりました!
「社内ネットワーク」を味方にする:孤軍奮闘を防ぐ
- 他部門の味方を連れてくる
- 人事、総務、安全担当など、他の利害関係者を巻き込むと説得力アップ。
- 上司の“上司”をさりげなく巻き込む
- 最終承認者に軽く相談→OKが出れば、現場上司にも動きやすくなります。
- “社内コミュニティ”活用
- 健康経営推進会議や安全衛生委員会など、社内の公式コミュニティで情報発信し、部署横断の協力を募りましょう。
よくある質問Q&A


次に、上司や関係者の“協力&関心”を引き出す際によくある質問に対して、なのんだったらどう回答するのかをご紹介いたします。
- 上司がいつも怒りっぽくて話しづらい…
-
背景を俯瞰し、「最近、プロジェクトで何か大変なことはありませんか?」と相手の事情を聞き出す練習をしよう。部署の目線、人事の目線、同僚の目線――いろいろな角度から上司の状況を想像し、共感の言葉をかけることで、心の扉を開いてもらいやすくなります。
- そもそも何をサポートしていいかわからない…
-
小さなお願い(書類準備・資料共有)から始め、反応を見て次の一手を考えてみて!
- 具体的なテクニックを試してみましたが、効果がなかったようです…どうすればいいですか?
-
テクニックは“道具”にすぎません。道具を使いこなすには練習と工夫が必要です。何度も試して、自分流のコツを見つけましょう!また、自身のマインドセットを再確認してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、産業保健師向けの「協力&関心を引き出すマインド&具体的なテクニック」について解説していきました。
「なぜマインドセットが大事なのか」を理解し、行動(具体的なテクニック)と心持ちをセットで磨けば、“協力&関心”を引き出すだけでなく、あなたの支援は組織に深く根づきます。まずは小さな一歩から。あなたなら必ず、職場の“応援者”を増やせます!応援しています♡



まずはマインドセットから、急がず焦らず意識していきましょう!
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産業保健師に必要なスキルや基礎知識、企業で働く上での考え方を網羅し、実践力を鍛え、産業保健師としての成長と自己実現につながる講座となっています。
一緒に成長していきましょう!


\ 産業保健師の実践力を鍛える/
最後までお読みいただき、ありがとうございました!これからも産業保健師としての成長を応援しています!