つながる産保カフェー事例検討ー2025年4月12日

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つながる産保カフェとは

「つながる産保カフェ」は、産業保健師としての成長を支え、仲間とつながることで新たな可能性を広げる場です。共に学び、共に支え合い、実践に活かせる知識と人脈を得ることで、産業保健師としての未来を一緒に創りましょう。

今回のテーマ:事例検討-発達障害者への就業上の配慮と配慮までのステップ-

今回は、発達障害のある新卒社員の就業上の配慮と配慮に至るまでのステップについて事例検討を行いました。

事例:発達障害のある新入社員
人事より「発達障害+研修中の眠気」のため保健師へ連携があり、保健師面談実施。
配属後、危険業務や重量物取り扱いがあるため、保健師意見としては、就業上の配慮が必要であるとの結論。
就業上の配慮までのステップや保健師が就業上の配慮の判断をして良いのか疑問に思ったため検討したい。

ディスカッションポイント① 保健師が就業措置の判断をして良いのか

ご相談者様

産業医より診断書の中で配慮の内容が書いてあれば、産業医面談を
待たずに配慮してOKと言われていた。
上司から、保健師の判断で就業措置を決めていいんだっけっと言われ疑問に思った。

なのん

医師の診断書に配慮事項が書かれているのであれば、
会社として産業医面談を待たずに配慮することはできる。
保健師は診断をする人ではないため、保健師意見だけで進めるのは
保健師が責任を問われる可能性大。

結論:診断をするのは医師。配慮の内容について診断するのは保健師ではできないが、保健師はリスクや配慮などの意見を伝え、会社が就業措置を決めるという流れは可能。

保健師面談結果報告書の活用

保健師面談結果報告書を活用し、関係者へ保健師意見をシェアすることで保健師としての責任を全うし、保健師自身のリスクを下げることが可能!

保健師面談結果報告書を出すメリット
1️⃣ 関係者との情報共有がスムーズ
→ 上司、人事、事業所長、産業医などに共有することで、本人支援や職場改善のための共通理解が得られ、対応がスピードアップします。※共有する関係者は会社によって異なるため、確認が必要です。
2️⃣ 法的リスクへの備え
→ 結果報告書を出すことにより、メンタル不調などによるトラブル時の証拠としても活用できます。
3️⃣ 現状把握と可視化
→ 面談で得た情報(健康状態、生活習慣、ストレス状況など)をまとめることで、本人の健康課題や職場環境の問題点が「見える化」されます。

なのん

私が使っている保健師面談結果報告書を共有しますね!
必要に応じて、使いやすいようにカスタマイズして使用してみてください!

難しいケースや以下の対応時について、上司や人事担当者などと相談の上、面談記録とは別に
保健師面談結果報告書をだすことも検討

  • 休復職者支援時の面談
  • ストレスチェック後の面談
  • 時間労働者面談
  • 就業上の措置の検討が必要なケース など
以下をクリックして、保健師面談結果報告書のサンプルを拝見してみてね♡

ディスカションポイント②産業医面談へつなげるステップ

ご相談者様

最初は、
①産業医面談に繋げ、診療情報提供書を発行し、主治医へ受診。主治医意見をもらうという想定をしていたが、
②会社の意見をもらう書式を本人へ渡し、主治医意見書をもらって、産業医面談を行う流れになった。
どっちがステップとして良かったのか、、悩んでいる。

なのん

参加者全員、②の流れで良いという意見あり。
①の場合、産業医面談を行う目的は何か?それは産業医でなければいけないのか?を考える。
しかし、会社によっては、産業医面談がファーストの会社もあるため
会社によって、フレキシブルに。

なのん

このようなケースは、もっと悪化した状態で発見されるケースが多い。
スピーディーな対応ができていることや、人事との連携、保健師面談からの保健師意見を述べている点が素晴らしい!

結論:今回のケースでは、産業医面談まで時間がかかることや配属への影響などを鑑み、先に主治医意見を伺う流れをとることで、円滑な対応が可能となった。
しかし、会社によっては、産業医面談が先というケースもあるため、その間の対応(様子見するのか、制限をかけるのかなど)をどうするのかは検討の余地あり。
主治医の就業上の配慮の意見が出なかった場合、どうするのか?についても検討しておく必要あり

ディスカッションポイント③合理的配慮のための障害者手帳の取得

なのん

今回のケースについては、その後の対応を検討しておく必要あり。
特に障害者雇用を検討する必要があるケースについては、
以下の視点を持っておくことも大事!

障害者雇用を検討するケースにおける視点

  • 職場のメンバーへの影響(同じ一般職であるにも関わらず、仕事内容の違いによる不満、特別扱いなど)
  • 配慮の期間(いつまで配慮し続けるのか、就業上の配慮の内容の再検討時期など)
  • 合理的配慮を続ける場合、障害者手帳の取得の検討
  • 障害者手帳の取得のメリット(会社として配慮しやすい、、) 
  • 障害者職業センターと連携し、職場適応援助者(ジョブコーチ)の活用 などなど

参加者の声

参加者様

本日は事例検討会を開催いただきありがとうございました。 濃ゆい検討会になりましたね💦 「保健師の意見が…」と会社に信頼してもらっている一方、 医師ではない保健師が意見を述べなくていけない場面でのリスクを 避けるすべを身に付けて業務に当たることの大切さを今回のケースと自分の失敗を通して改めて感じました。

参加者様

自分の気付きとしては、会社のスタンスにもよるのかもしれませんが、 障がい者雇用であっても現職復帰が原則、ということです。 従業員には働けるところまで元気になって復職してほしい、 会社にも適正配置の努力はしてほしい、と双方に期待をしてしまいがちなのだと、 自分の傾向を認識することができました。 合理的配慮が当たり前、と過剰に配慮を求めるケースがあったり、 健常者の管理者の負担が大きくなりすぎてメンタルダウンに陥ってしまうケースも起こったこともあり、バランスが大事だと感じました。

なのん

素晴らしい気づきをありがとうございます!
産業保健師自身のリスク管理はとても大事ですよね。
基本的に「職場は働く場所」ですので、障害者雇用者であったとしても求められている業務は行わなければなりません。
不調者や障害者が、過剰に配慮を求め、隠れモンスター化してしまい、
職場が疲弊してしまう可能性が高くなることは産業保健師は念頭に
置きながら、ケース対応にあたる必要はあると思います!

今回、濃ゆい内容でしたので、隠れモンスター化してしまうケースまでの検討はできませんでしたが、そういうケースの事例検討もあっても良いかもですね!

参加者様

本日は、事例検討会を開いていただき、また多くのご意見をいただき、本当にありがとうございました!!!!!!!
非常に有意義な時間を過ごすことができました🙇‍♂️✨産業保健師の新たな引き出しが増え、うれしい限りです!

参加者様

本当に気づきがいっぱいで、パワーアップしたようで嬉しいです🥹
事例を出す前は非常に迷います。
こんなこと相談していいのかとかいろいろなことを考えますが、最終的には相談してよかったなという気持ちにいつもなります。
今回、改めて思いましたが、産業保健師の方々は、まずは相手を認めるようなお声かけ技術が本当に素敵だなと!相談してよかったと思うお声かけをたくさんいただき楽しく学ぶことができましたし、みなさんからお声かけ技術も学ぶことができた私は、本当にパワーアップしたような気がします💪

なのん

素敵な感想ありがとうございます!!
自分のケース対応を出して、みんなで検討するってとても勇気がいることだったと思います!
自分が対応に困ったケースの事例検討をすることは「自分の対応を否定されるんじゃないか、自分の未熟な点を指摘されて怖い」という感情が炙り出され二の足踏んでしまう中、勇気を振り絞って、他者の意見を聞くというアクションが取ったことはとても素晴らしいですし、勇気を出してくださったからこそ、1番気づきが得られたのではないかと思います🙏✨

参加者様

今日もとても勉強になりました!!! 事例共有ありがとうございました✨ このような機会をいただけて本当にありがたいです🙇‍♀️
仕事中、やっぱり私には無理だったんじゃないかと考えてしまうこともあるんですが、辞めることは簡単でいつだってできる!と自分に言い聞かせています🤣 なのんさんの講義や昨日のような会に参加させてもらうと、皆さん本当あったかくて、この場にいていいんだ、認めてもらえているんだと、毎回勇気づけられています😭✨ ありがとうございます💓

なのん

ご参加いただきありがとうございます!
なかなか出会うことのないケースなので、考えなきゃいけない視点がたくさんでしたよね!
思考停止しちゃうような事例の中でイメージを膨らませて、自分の意見を言えていること自体が素晴らしいことなのです👍✨ 今回は産業医がいる場合でしたが、じゃあいない事業所はどうするのか?っという点まで検討できたら良かったなあと思いましたが、また次回♡

まとめ

今回の事例検討会では、

  • 保健師のリスク管理
  • 保健師裁量が高い会社の保健師判断の可否
  • 障害者雇用
  • 発達障害者への合理的配慮 など

について検討いたしました!

なのん

とても濃厚な事例検討だったと思います!
濃ゆくて、頭がいっぱいいっぱいになっていると思いますので
学びをアウトプットして、自社の活動や今後の対応力向上に
繋げていきましょう!

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